「バーコード」

(再公開 2017/06/01)
未来の世界。人々は持って生まれたバーコードによって選別することを選んだ。
それはあらゆる場面で行われ、そこから逃れることはできなかった。
選別人「次の方。こちらへ腕をのせて下さい」
呼ばれた青年は言われるままに腕をのせる。装置が動き出し、一枚のカードをはじき出した。選別人はそれを見て驚きの声をあげる。
選別人「ほう、これは珍しい。あなたは、素晴らしいバーコードをお持ちですね」
青年1「そ、そうなんですか? でも、僕は…、普通でいいんですけど」
選別人「あなたは選ばれたんですよ。人類の宝です。その能力を存分(ぞんぶん)に生かして下さい」
青年1「でも、僕なんかに、何ができるんでしょう?」
選別人「それは、私には分かりません。でも、あなたは人類に貢献(こうけん)できるんです。頑張って下さい。では、一番右の金のドアからお入り下さい」
選別人はカードを渡しドアへ促(うなが)す。その時、後ろにいた別の青年が割り込んできた。
青年2「ちょっと待てよ。何でこんなみすぼらしい奴が金のドアなんだ。納得(なっとく)できないな」
選別人「(顔色を変えることなく)こちらへ腕をのせて下さい」
青年2「聞いてんのかよ。こんなのが人類に貢献できるわけないだろ」
選別人、青年2の腕をつかんで装置の上にのせる。装置が動き出す。
青年2「なにすんだよ。俺を誰だと思ってんだ。俺は、この国の大統領の息子だぞ」
選別人「ほう、それは素晴らしい」
装置が一枚のカードをはじき出す。選別人はそれを見て、
選別人「では、一番左の木のドアからお入り下さい」
青年2「はぁ? 俺が木のドアだって。冗談じゃない。俺にはな、特別な才能が…」
選別人「お父上は素晴らしい才能をお持ちだと思います。だからといって、あなたにもその才能があるとは限りません。次の方どうぞ」
青年2「待てよ! 俺は大統領の息子だぞ。そんなことしてみろ。後でどうなるか…」
青年2は警備員に押さえられ、引きずられるように木のドアへ連れて行かれた。
次の少女が顔をこわばらせて立っていた。
選別人「大丈夫ですよ。(にこやかな表情で)私は、取って食ったりしませんから」
少女「あっ、はい。(おずおずと進み出て)よろしくお願いします」
選別人「こちらへ腕をのせて下さい。心配なさらなくてもいいですよ。運命なんて、その人の努力次第(しだい)でどうとでも変わりますから」
装置が動き出し、一枚のカードをはじき出す。
選別人「なかなか良いバーコードですよ。では、右から三番目の銅のドアへ行って下さい」
少女「はい。ありがとうございました」
少女はカードを受け取りドアへと進む。
彼女の後ろには長い列が続いていて、最後尾がどこなのか全く分からない。選別人は、いつ終わるか分からない仕事を延々(えんえん)続けていく。
<つぶやき>まるで最後の審判のような光景です。自分の力を信じて前へ進みましょう。
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2012年12月28日