「初めての挨拶」

(再公開 2017/06/19)
付き合っている真以子(まいこ)を両親に会わせるために実家に戻った一樹(かずき)。茶の間で対面した両親。両親としてみればいろいろと確かめなければいけないことが。
一樹「えっと、彼女が、今、付き合ってる…」
真以子「(元気よく笑顔で)里見(さとみ)真以子です。一樹と付き合って三カ月になります」
面食(めんく)らう両親。二人で顔を見合わせる。一樹、真以子を見詰(みつ)める。
父親「ああ…、なかなか元気そうで、いいんじゃないのかな。なあ、母さん?」
母親「(戸惑いながら)そうねぇ。それに、可愛(かわい)い子じゃない、一樹」
真以子「はい。よく言われます(満面(まんめん)の笑(え)み)」
一樹の声「(真以子を見て)ええ、そこはあれだろ。自分から言うか? それに、笑いすぎだって」
母親「それで、一樹。どこで知り合ったの?」
一樹「ああ、それは友達に…」
真以子「合コンです。彼ったら、すっごい積極的(せっきょくてき)で…」
一樹「(真以子の手を押さえて、小声で)ちょっと、それは――」
父親「合コン? 一樹、お前、合コンなんか…」
一樹「違うよ。合コンって言うのは、いろんな友達が集まって、ほら、何て言うかな…」
一樹、言葉に詰まり真以子を見る。真以子は無邪気(むじゃき)に微笑(ほほえ)んでいる。
一樹の声「何だよ。普通、ここは友達の紹介で、とか言うだろ。どうすんだよ」
真以子「あたしも、いろいろ合コンしてたんですけど、彼ほど気が合う人いなかったです。それで、もう盛り上がっちゃって――。やっちゃいました」
両親と一樹、驚いた顔で真以子を見る。
一樹の声「な、何で? そりゃ確かに、盛り上がってラブホに行っちゃったけど。でも、酔(よ)っぱらいすぎてて、そのまま寝ちゃっただけだろ」
父親「あの、やっちゃったってのは?」
一樹の声「親父! そこは、掘(ほ)り下げるとこじゃないだろ。そんなこと訊くなよ」
真以子「あっ、それは、二人で一緒に…」
母親「ところで、真以子さんは、一樹のどこかよかったのかな?」
一樹の声「お袋(ふくろ)、ナイス。やっぱ、機転(きてん)が利(き)くわ」
真以子「う~ん、そうですね~ぇ(しばらく考えている)」
一樹の声「(真以子を見詰めて)おいおい、そんなに考えることなのか?」
真以子「あたし、いろんな方とお付き合いしてきたんですが――」
父親「それは、合コンで?」
一樹の声「親父、合コンのことから離(はな)れろよ」
真以子「ええ。お医者さんとか、一流企業の人、それにお金持ちの社長さん」
父親「そりゃ、すごいな。一樹とは月とすっぽんだ」
一樹の声「ほっとけよ。どうせ俺は、親父の息子だよ」
真以子「やっぱ、一樹と一緒だとすっごく楽なんです。素(す)のままのあたしでいられるし」
<つぶやき>あけすけの彼女ですが、悪気なんて全くないんです。末長くお付き合いを…。
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2013年02月20日