「気になる人」

(再公開 2017/05/04)
とあるオシャレなカフェ。女二人が何やらひそひそと話している。
好恵(よしえ)「ねえ、やっぱやめようよ。こんなことしても…」
まなみ「何言ってるの。あなたが言い出したのよ。今さら怖(お)じ気(け)づいてどうするの」
好恵「でも、私は別に…。見てるだけでよかったのに」
まなみ「あのね、そんなんだから彼氏とかできないのよ。ここは攻(せ)めていかなきゃ」
好恵「えっ…。でも、私…」
まなみ「今日のために、あたしがどれだけ時間を費(つい)やしたか知ってるの? あなたのわがままをきいて、あなたが一番似合う服をそろえてあげたのよ」
好恵「私、別にわがままなんか言ってないでしょ。ミニスカートは嫌だって言っただけで」
まなみ「男を振り向かせるのに一番手っ取り早いのは、胸と足よ。好恵は足を見せるしかないでしょ。だから、ミニじゃなくキュロットにしてあげたじゃない」
好恵「そりゃ確かに、私は胸はないわよ。でも、だからって足を出せばいいなんて…」
まなみ「(ため息をつき)あのさ。好恵は彼氏が欲しいの、欲しくないの?」
好恵「……。そ、それは、欲しいわよ」
まなみ「だったら、女の武器を使うしかないでしょ。普段パンツばっかで、オシャレとか気にしてないんだから。だからダメなのよ」
好恵「そんなこと…。私だって、それなりに考えてるわよ」
まなみ「ねえ、好恵ってけっこう可愛(かわい)いわよ。色白だし、スタイルだって悪くない。もっと自信をもたなきゃ。あなたに足(た)りないのは、そこなのよ」
カフェに若い男が入ってくる。二人の近くの席に座る。好恵がそわそわしだす。
まなみ「(声をおとして)ねえ、あの人なの?」
好恵、緊張して飲みのもを口にするが、持つ手が小刻みに震える。
まなみ「(男を盗み見て)へえ、なかなかじゃない。こりゃ、やり甲斐(がい)あるわ」
まなみ、にやにやと笑う。好恵は、逃げ出したい気持ちでいっぱいになっている。
まなみ「ちょっと、落ち着きなさいよ。大丈夫だから。あたしの言う通りにすれば…」
好恵「ダメ。無理、絶対ムリ。私、帰る。帰っていいかな? 帰るわ」
まなみ、立ちあがろうとする好恵の手をつかんで、
まなみ「逃げちゃダメ。ここで逃げたら、恋人なんかできないわよ。それでもいいの?」
好恵、立つのをやめて、うつむきながら首を振る。覚悟を決めたようだ。
まなみ「じゃあ、作戦開始よ。ここは、Bパターンでいきましょう。あれだけのイケメンよ。女性との付き合いも多いはずだから、こっちもガツンとかましてやりましょ」
好恵「えっ、ちょっと待って。Bパターンって、どうするんだっけ?」
まなみ「何言ってるのよ。昨日、さんざん打ち合わせたじゃない。忘れちゃったの?」
好恵「ご、ごめん。私、ダメかも…。もう、頭の中、真っ白で…」
まなみ「仕方ないわね。あたしも一緒に行ってあげるわ」
二人、ゆっくり立ちあがる。そして、若い男の方へ歩き出した。
<つぶやき>Bパターンって? ちょっと気になっちゃいます。成功するんでしょうか。
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2012年11月16日