「空からきた少女」032

「任務」
 アールの説明は簡単(かんたん)なものだった。だが、波紋(はもん)を広げるにはそれで充分(じゅうぶん)だ。
「昔、ある国で作られた兵器が辺境(へんきょう)の宇宙域(うちゅういき)へ送られた。その兵器は自爆(じばく)したものと思われるが、それを確認してもらいたい。もし、兵器の稼働(かどう)が確認できたら、ただちに破壊(はかい)すること。これが今回君たちに与えられた任務(にんむ)だ。ただちに取り掛(か)かってくれ」
 兵器のスペシャリストが声をあげた。「昔の兵器なのに急ぐ必要があるのか?」
 その問いに答えるようにアールは言った。「君は、機械進化論(きかいしんかろん)を知っているかね?」
「そんなのはでたらめの作り話さ。信じてる奴(やつ)なんていやしない」
「そこにいるチップメル教授(きょうじゅ)は、可能(かのう)だと思っているようだが」
 アールの言葉に、一同は教授の方を見つめた。教授はどう答えればいいのか戸惑(とまど)った。だが、機械進化論についてあちこちで意見が飛び出した。
「夢のような話だけど、けして不可能なことじゃない」
「私たちの探査機(たんさき)だって、それに近いものを目指(めざ)しているじゃない」
「我々(われわれ)でもまだ実現(じつげん)できないのに、完全な兵器として使えるものが作れるのか?」
「もし作れるとしたら、ハンメル博士(はかせ)ぐらいだろう」
 誰かが冗談半分(じょうだんはんぶん)に言った。他の人たちも、その意見には反対するものはいないようだ。
 アールは意味深長(いみしんちょう)な笑みを浮かべて、「それは正しい判断(はんだん)と言っていいだろう」
<つぶやき>新しいものを作るのは大変です。最初にそれを始めた人はすごいと思います。
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2017年03月26日