「空からきた少女」034

「黒いジェル」
 会議(かいぎ)が終わると、チップメル教授(きょうじゅ)はロボット開発者(かいはつしゃ)たちに案内(あんない)されて研究室(けんきゅうしつ)へ向かった。――その研究室にはいくつもの装置(そうち)が置かれ、通路(つうろ)もないほど雑然(ざつぜん)としていた。彼らは装置の間をすり抜(ぬ)けて、一番奥の小部屋に教授を招(まね)き入れた。そこは他の部屋とは違い、透明な壁(かべ)ではなく、何か金属のようなもので出来ていた。部屋の中央には台があり、五十センチ四方の透明(とうめい)な容器(ようき)が置かれている。その中には、黒いジェル状の物質(ぶっしつ)が入れられていた。
「これが、我々(われわれ)が開発した新型ロボットさ」
 緑色(みどりいろ)の肌(はだ)をした男が容器を指差(ゆびさ)し、ニヤリと笑った。唖然(あぜん)としている教授を見て楽しんでいるようだ。さらに男は続けた。
「この物質は、どんな形にも変形(へんけい)できるんだ。では、我々(われわれ)の最愛(さいあい)の子供を紹介(しょうかい)しよう」
 男はポケットからピンポン玉ほどの球体(きゅうたい)を取り出し、教授に見せると、容器の中へ投げ込んだ。すると、ジェル状の物質がうごめきだし、中央部分が盛(も)り上がってきた。教授は不思議(ふしぎ)に思い、容器に一歩近づいた。まるで新種(しんしゅ)の生き物のようで、興味(きょうみ)をひいたのだ。
 物質の動きがいったん止まると、盛り上がった部分に目のようなものが現れた。次の瞬間(しゅんかん)、そこから赤い光が飛び出して教授を捉(とら)えた。教授は、一瞬(いっしゅん)身体の自由を奪(うば)われた。赤い光は教授の全身を照らし出した。
<つぶやき>不思議なものを見ると、それが何なのか知りたくなる。でも注意しないと…。
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2017年04月13日