「空からきた少女」021

「国家機密」
 チップメル教授は信じることが出来なかった。研究分野は違っても、同じ科学者として尊敬(そんけい)できる人物だったからだ。そんな教授の様子を観察しながら、アールは話を続けた。
「実は、あなたの発見したチップの中に、博士が開発した装置の情報が含まれていたのです。勿論(もちろん)、これは外部には公表していないもので、国家機密(きみつ)になっていました」
「何が言いたのですか?」教授は感情的になり、「博士が機密の漏洩(ろうえい)をしたとでも!」
「落ちついて下さい。いまさら国家反逆罪(はんぎゃくざい)を持ち出すつもりはありません。ただ、当時も機密漏洩の噂(うわさ)はあったようです。まっ先に容疑者として疑(うたが)われたのは、ハンメル博士でした。でも、証拠が確認できなかった。当時の捜査官の記録によると、そのころ博士は他の所員からあまりよく思われていなかったようです。妬(ねた)まれていたんでしょうな。あまりにも先を行きすぎていましたから。それで、あらぬ疑いをかけられた訳です」
 アールはなおも話を続けた。
「今となっては、誰が機密を漏らしたかは問題ではありません。ハンメル博士の開発した技術が使われていたとなると、あの兵器は最高水準の破壊(はかい)兵器だということになる」
「そうですね。でも、よかったじゃないですか。調査をすることになったんですから」
「それはどうでしょう。もし兵器が発見された場合、我が国はまずい立場に立たされることになりかねない。そうは思いませんか?」
<つぶやき>誰にも知られたくない秘めごと。多かれ少なかれ、誰でも持ってるかもね。
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2016年11月04日