「空からきた少女」030

「探査プロジェクト」
 この研究所(けんきゅうしょ)では、以前(いぜん)から新型の探査機(たんさき)の開発(かいはつ)が進められていた。それは、どんな環境(かんきょう)にも適応(てきおう)でき、不測(ふそく)の事態(じたい)でも判断(はんだん)を下せる自立型(じりつがた)探査ロボット。グリーク政府は他の国に先駆(さきが)けて、未開(みかい)の宇宙の探査に乗り出そうとしていた。広大な宇宙には膨大(ぼうだい)な資源(しげん)が眠っている。それを独占(どくせん)することができれば、グリークの力は確固(かっこ)たるものになる。
 透明(とうめい)な壁(かべ)に囲まれた会議室には、数十人の研究者や技術者が集められていた。この探査機のプロジェクトが動きはじめて以来、開発メンバー全員が顔をそろえるのは初めてだった。会議室の中では、いろいろな言葉が飛び交(か)いざわついていた。チームリーダーと思われる男が入ってくると、やっと静かになった。
 バルンガ星人(せいじん)のリーダーは一同を前にして言った。
「さあ、私たちの子どもを送り出す時がきました。いよいよ、探査が始まります」
 会議室に歓声(かんせい)があがった。今までの研究成果をみせるときがきたのだ。さらに、リーダーは続けた。「探査のエリアは、六万光年離れた辺境(へんきょう)の宇宙域です」
 その時、誰かが声をあげた。「ちょっと待てくれ。何でここに部外者(ぶがいしゃ)がいるんだ」
 彼はそう言うと、部屋の隅(すみ)に静かに座っていた数名を指さした。そこにいたのは、小型兵器の開発をしている技術者たちだった。会議室は静まりかえり、彼らに注目(ちゅうもく)が集まった。
<つぶやき>未知のものを探究する。何だかワクワクしますね。そこにはどんな世界が…。
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2017年03月08日